「お前は女爪だな」

不意に博雅は晴明の手を取って言った。

「急に何を言うのだ博雅」

晴明は少々呆れ顔で左手に持っている盃を呷った。

「いや今日な、清涼殿の廊下を歩いておった時、すれ違った女房たちが互いの爪を見せ合って、
 やれ女爪だ、やれ男爪だと言っておったのを思い出したのだ」

「ふぅん」

晴明はさも興味なさげに博雅が掴んでいる自分の手を見下ろした。

「嬉しくないな」

「ん?」

博雅は晴明の顔を見上げた。

「男なのに女爪など、嬉しくない」

そう呟く晴明の顔が少し拗ねているように思えて、博雅は内心微笑んだ。

「そう言うな晴明。美しいではないか」

晴明の爪は、すっきりと長く艶やかだった。

「嬉しくないぞ…」

じろりと晴明が睨む。

「そう怒るな怒るな」

博雅はそっと晴明の手を両手で握り込んだ。

「博雅?」

晴明が不思議なものを見るように首を傾げる。

「晴明の美しい指先には、女爪の方が合う」

そう言って恭しく爪の先にくちづけを落とした。

「…ッ博雅」

晴明が慌てて手を引こうとするが、博雅に強く握りこまれ失敗に終わる。

「晴明、愛しいよ」

「博雅…」

手を強く引かれ、晴明の体が博雅の胸に倒れ込む。
博雅はしっかりと晴明の肩を抱き、右手でそっと頬を撫でる。
晴明は静かに目を閉じた。
やさしい羽のようなくちづけが落ちてくる。

「お前は男爪だな」

晴明が博雅の無骨な手を持ち上げて言う。

「ああ。男爪だな」

博雅も頷く。
博雅の爪は平たく、光沢もなく、
しかし、とても頑丈そうだった。

「博雅らしい爪だ」

晴明はふふっと笑った。
晴明の笑みにつられて博雅も微笑む。
それは穏やかな夕暮時のこと…。

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今日も今日とてイチャイチャパラダイス。
意味不明な出だしですみません。
皆様お元気でしたでしょうか、YANAMiでございます。
久々の小説の解説で勝手が思い出せず、少々とまどっております。
そんなワケでかなりオヒサな浅野ゆきえ節。
皆様楽しんでいただけましたでしょうか?
相変わらずのバカップルぶりに、 『浅野という女の辞書には「ブランク」という言葉はないようだ』 と、ますます相方に対する畏怖の念を強めました。
それから、このイチャパラ作者がわざわざ自分から始末書を提出してきております故 この場を借りて発表させていただきます。

《始末書》
ネタにつまって教室で隣席の男との会話をネタに使ってしまいました(汗)
その男は超男!って感じの男(どんな奴だよ)なのに、爪が女爪なんです!!!(笑)
私も女爪だけど、私より綺麗な女爪なんです!(苦笑)
マジで、手入れしてんじゃないの?っていうくらい綺麗…(本人はしてないって言ってたけどね)
でも、本人はあんまり嬉しくないって言ってました。
…っとまあ、そんなわけでこんな話が出来上がりました。
無駄にイチャついてるのはいつものことなので気にしないでください
(晴明が妙に乙女なのも気にしちゃダメ)
この二人がイチャイチャベタベタしてるのは、ただの日常ですから(笑)
私は、ただ二人の日常を書いているだけです。ええ(笑)

日常に転がる萌えを探すのがプロの腐女子だということですね、わかります。